5.

学校が終わり家に帰ってきて
お風呂に入り、今は夕飯を食べる為、ダイニングテーブルに腰掛けている。

私の向かいにはヤツがいる。


おば様は「もう少しでお夕飯出来るから
待っててちょうだいね〜」とキッチンで夕飯作りの真っ最中だ。




私はテレビを見てる隆文に話しかけた。

「ねぇ」

彼はテレビかた私に顔を向ける
「なに」

「ひとつお願いがあるんだけど」


「お願い?」

そう言って彼が怪訝は表情を浮かべる。




「学校ではさ、私達が一緒に住んでる事内緒にしといて」


「なんで?」


「何でって・・あんたモテるみたいだし?、一緒に住んでるなんて皆に知られたら
騒ぎになりそうだし、あんただって、めんどくさいでしょ?
だからお互いの為に、住んでる事は内緒って事でよろしく」



「俺は別に気にしないけどね」


「あんたは気にしなくっても、私は気にするの!っていうか変な誤解とかされるのも嫌」



「サラダお待たせ〜」
とおば様がダイニングテーブルに持ってきて
一時会話が、途切れる。

「取り皿はココに置いておくわね」


「あ、はい」

そしてまたおば様がキッチンへ戻っていくと会話が再開される。


「勝手に誤解させてりゃ、いいんじゃねーの?」


「だぁっ!!もぅ!!私は誤解されたくないのよっ!特に慎吾く・・・・・っとと・・なな何でも無い・・・。
・・・とにかく分かった?絶対に言わないでよ!!」


あぶない・・・慎吾くんの名前出しちゃう所だったーーー。
捺の慌てっぷりを眺めてた、隆文は
一瞬、片眉を上げたが、すぐに元の無表情に戻り
ただ「へーへー」と返した。













夕食を食べ終え、お風呂に入った私は、
今、自分の部屋で寛いでいる。




「アキちゃん可愛い〜っ」

アキちゃんとは、捺が愛読しているファッション雑誌のモデル。
彼女の持つ雰囲気や、外見の可愛さだけでなく
服装にも憧れている。



「このアクセサリー可愛い〜!
あっ!このピアスも可愛いなぁ〜」



雑誌片手に、一人の時間を楽しんでいた時、
バタンと部屋のドアが開き、隆文が入ってきた。




「ちょっと!!人の部屋に入る時な、ノックしなさいよ!
それと許可が下りてから入ってきてよ。」

私は思いっきりヤツを睨みつける。


「何だよその格好」


「へ?」

私は自分の格好を見てしばし考える



「ブッ!!!ありえねぇーー。お前・・・ジャージじゃねぇか」


・・・・ジャージのどこが、一体ありえないんだろうか?


「ほんっと色気がねぇな。ジャージがパジャマってか?」





「うるさいわね。ほっといてくれっつーの!色気が無くて結構!」

・・・・また私ってば・・・・コイツの発言に反応しちゃった。
我慢だった。そうそうガマン、ガマン。うんうん。



気を落ち着かせてコイツのココに来た目的を聞いてみる。


「んで・・何か用なわけ?」

尋ねる私の問いに

「んーー別にねぇ」




「あっそ・・・じゃぁ早く出てってよ」


用が無いのに入ってくるなよ・・・
私は再び、視線を雑誌へと戻した。




「なぁ・・・」



急に真面目な声が降ってくる。


「なによ?」
私は雑誌に視線を置いたまま聞いてみる。




「・・・・・・・・・・。」


しかし一向に返事が返ってこない事に
ちょっとイライラし、捺は雑誌から再び彼を仰ぎ見た。


「何よ?」
もう一度ヤツの目を見て聞いてみる。


「まっ、いいや、何でもねぇ。」

そう言ってさっさと部屋から出て行ってしまった。



部屋を出て行ったヤツの姿を見届けた捺。





「結局何だったわけ??・・・まっいいか」


捺は特に気にする事なくまた雑誌を読む事に専念していった。