2
はぁ・・・・
私のため息など露知らず、時間と言うものは無情にも流れている訳で・・・。
今、私はママから託された1枚のメモ用紙を頼りにし、
今現在、とある家の前でインターフォンと睨めっこしている。
母は昨日私より1日早くパパの元へと旅立ってしまった。
荷物はもう菅野さんのお宅に送っておいたわよ。
じゃぁいい子でやるのよ。
そんな言葉を残して。。。
「ったく・・・こんな状況になるなら全寮制の学校にでも行けば良かったかなぁ」
なんて事すら思ってしまう。。。
でも・・・もう今更引き返せないし
捺は覚悟を決めて、インターフォンを押した。
「ピンポーン」
小気味良いテンポでベルが鳴る
捺な改めて家の外観を見渡した。
「はぁ〜・・・それにしてもでかい家・・・」
間もなくして「はい」と言う女性の声が聞こえてきた。
ドキン
「あ・・・は初めまして!!私、小川捺(おがわ なつ)と言います」
「捺ちゃんね?ちょっと待ってててちょうだい。今開けるわね」
そう言って切れたかと思うとすぐにドアが開いて中から人が出てきた。
うわぁーー。き、緊張するーーー
「やぁ・・良く来てくれたね。さ中へどうぞ」
そう言った人は
男の人。。。
ちょっと中年の。。。
イ・・インターフォンに出た人と違う・・・
てかこのおじさん誰?
そんな私の心の中が読めたのか
そのおじさんは、私に向かって
「初めまして、捺ちゃん。
今日からよろしくね」
「あ・・・はい。よろしくお願いします・・えーーーとあなたは・・・」
で・・誰なの?
「ああ、僕はそうだな、この家の主人?かな」
はぁ?!
主人?かな・・・・
って何だ?
・・・主人じゃないの・・・?
考えに考えた挙句私の口からは
「はぁ・・・」
何ともマヌケな声しか出て来なかった。
「さぁ立ち話もなんだから、上がって」
そう言われて、此処が外だって事に気が付く。
「では、お邪魔します」
「はい。どうぞ」
玄関を入りリビングに通された私は、今この家の主人?と向かい合ってソファに座っている。
するとリビングのドアが開き女の人が入ってきた。
「まぁ捺ちゃん。いらっしゃい。ずっと楽しみに待ってたのよ」
ウフフと優しそうな笑みで話す人は・・・さっきのインターフォンから聞こえた声と同じだ。
「捺ちゃんの荷物ははもう部屋に運んであるから後で案内するわね?」
私は思わず立ち上がり
「今日からよろしくお願いします」
と勢い良く言い、ペコリと頭を下げた。
それからは趣味や、私のパパとママの学生時代からの話しで盛り上がり、
肩の力もグンと楽になった。
そんな打ち解けた雰囲気の中、ガチャという音がして
主人・・・改め、おじ様とおば様、私は音のしたドアへと視線を移した。
そのドアから現れたのは・・・・私と同じ歳くらいの男の子。
"ドキン"
うそ・・・
か・・・・・かっこいい。。
触ったらサラっと手触りの良さそうな髪に、スッと通った鼻筋、形の良い唇にキリっとした目
身長だって裕に180cmは超えてるんじゃない?
「あ。隆文お帰りなさい。今日から家に住む事ななった捺ちゃんよ?ご挨拶してちょうだい」
そんなおば様の声で飛ぶに飛んでいた私の思考が現実に戻ってきた。
そして私は立ち上がり
「初めまして。今日からお世話になります小川捺です。よろしくお願いします」
とペコリと頭を下げた。
「・・・・・・・・・。」
あ、あれ?
返事が返ってこないぞ・・・?
不思議に思い下げてた頭を上げ、彼を見上げると
バッチリと彼と目が合った。
程なくして
「ああ・・・・どうも」
聞き取れるか取れないかぐらいの小さい声で話したと思ったら
次の瞬間には”バタン”とリビングのドアが閉まり彼の姿が消えた。。。
「・・・・・・・・・」
「もぅっ!!隆文ったら・・・・。ごめんなさいね、捺ちゃん。。。
あの子ったら・・・いつもあんな感じだから気にしないでちょうだいね?」
そう言って私にフフフと笑う、おば様。
「はぁ・・・・・」
何よ、、あいつ・・・。
超感じ悪くない?